東京を拠点に活動する4人組ロックバンド・Broken my toyboxが、アーティスト発掘オーディション〈Gunosy × ARTIST BASE オーディション2020 ~RISE~〉でグランプリを受賞、UNIVERSAL MUSIC GROUPからのデビューを勝ち取った。
2016年に結成された綺麗事のない残酷の中のかすかな灯火を歌い、時に突き放し痛みを歌うギターロックバンド、Broken my toybox。2020年9月30日には新曲「ブラックアウト」を配信リリースし、止まらぬ勢いを更に加速させている。
そんなBroken my toyboxにキャリア初となるインタビューを敢行。バンド結成の経緯や「ブラックアウト」に込められた想い、コロナ禍での変化と今後の展望について話を訊いた。
取材・文:エビナコウヘイ
撮影:清水舞
高田健太郎(Gt 以下、高田): 高校の軽音楽部で、一個上の先輩だった郷間直人(Ba、以下、郷間)と加藤芳樹(Dr 以下、加藤)と3ピースバンドを組んでいて。大学に入ってオリジナルバンドをやるにあたって、藤井樹(Gt/Vo 以下、藤井)を紹介してもらって結成に至りました。
藤井: 幼稚園の頃から松任谷由実さんが好きだったんですけど、椎名林檎さんがカバーした「翳りゆく部屋」を聴いた時に衝撃を受けて。椎名林檎さんや東京事変を聴いて、高校の軽音部でギターを始めましたね。軽音部に入ってからはBUMP OF CHICKENやRADWIMPSなども聴き始めました。
高田: 中学校の時にテレビでBUMP OF CHICKENが流れてるのを聴いて、次の日に部活を辞めてギターを始めました(笑)。RADWIMPSもずっと聴いていたんですけど、父親がアース・ウィンド & ファイアーをよく流していたので、ファンク系もたくさん聴いていましたね。
加藤: 小学6年生の時に音楽の授業でボンゴを叩いたんですけど、打楽器が気持ち良くてドラムを始めました。UVERworldやUNISON SQUARE GARDEN、TOTOの曲をよくカバーしてました。
郷間: ゲームの『大合奏バンドブラザーズ』でベースパートを演奏した時に、曲を支えてる感じが好きで中学一年の時にベースを始めました。グリーン・デイとかオフスプリングが好きで、歌詞よりメロディーを重視して聴いていて、そこからELLEGARDENやthe band apartも聴くようになって。今は[Alexandros]が好きです。
藤井: 最初の頃は自分の生活の中で上手くいかないことを切り取ったものが曲になっていたんです。でも、今は多様性が求められている時代の中で、生きづらさを感じる人も多いと思うんです。その中で、どこに針を刺して縫っていけばいいんだろう、と考えている最中のことを書いてます。難しい時代になったからこそ書くことが増えてきたし、そういう視点を混ぜ込みたいですね。
藤井: 楽曲のアプローチだと、以前はスタジオで新曲を弾いて聴かせることが多かったんです。でも、自粛期間だと顔を合わせることも減っちゃって。だから、自分でゼロから最後まで作ったものを送って、皆に好きなように崩してもらうっていう考えができるようになった。自分たちの新しい力にもなったと思います。
高田: スタジオで生まれるマジックも大事なんですけど、全体を俯瞰して曲が作れるようになったのは大きな武器だと思います。
高田: 藤井の作る曲はいつもインパクトがあって、言葉遊びや難解な歌詞も面白いので、負けちゃいけないと思っていて。曲に寄り添うアレンジよりも、彼を負かすアレンジをしないとこのバンドで生きていけないと常に考えながらアレンジしてます。あとは、自粛期間にデスク上での一歩引いた目線の作曲ができるようになって、かなり自由度が増したのかなと思います。
郷間: ベースは最初のデモよりも、もっとキモいベースラインにしようと思って。健太郎と一緒で、勝負してやる! っていう気持ちで目立つようにしてますね。
加藤: ドラムはあまり考えて作ってないんですよね。藤井のデモを聴いて構成が分かって、逆に元の歌を無視して作ったりもしますし。やっぱりフィーリングがかなり大きいかなと思いますね。
高田: ドラムが一番最初に完成するんですけど、本当に考えてるのかってくらい仕上げるのが早いんですよ。でも一発でカッコいいものが送られてくる。
藤井: 一度言ったことを拭えない時代になってきている反面、もうそれでいいじゃないかっていう諦めムードで生活をしている人が多いと感じていて。皆が暗がりの中を歩いていても何とも思わないような状況に対して、疑問を感じて書いた曲です。言われ放題、言い放題でいいようになっているのは嫌だなと思って。
加藤: 小さい頃から姉と一緒によくイラストを描いていました。デザインについては、ここは何でこうなってるのかと訊かれても、全部答えられるよう意識してます。「ブラックアウト」も、藤井から盲目な人が嗤っているイメージを訊いて。ブラックアウトっていうタイトル通り、背景の街を停電させました。
加藤: グッズデザインも基本的に僕と郷間がやっていて。あまりデザインの主張が強すぎず、普段使いもできる機能性のいいものを作りたいと思っています。
高田: キャップとかも作ってみたいですね。Broken my toyboxのグッズってセンスがいいよねって言われるようにしたいです。
藤井: 今までもオーディションには参加していたんですけど、悔しい想いをすることが多かったんです。なのでグランプリという結果を聞いた時、他のメンバーは喜んでいたんですけど、僕はすぐに実感が湧かなかったですね。でもやっと結果が出てホッとしています。コロナのときはバンドの活動が止まってないことを示す為に、どんどん新曲を出していこうと気張ってました。特にオーディション期間中は、こういう曲があるから聴いてほしい、その時に思ったことをちゃんと聴いてもらおうと、特に頻繁に曲を出していた時期でした。
郷間: オーディション期間中に何曲作ったっけ? グランプリ発表の当日の朝も新曲を送ってきたよね。
藤井: Twitterに貼ったのは弾き語り含めて3曲くらいかな。新曲良かったって言われても、どの曲のことを言ってるのか分からなくなるくらいでした(笑)。
藤井: それも確かにあったかもしれないです。そういう中で生きていく前向きな曲を作らないといけないなっていう気持ちも芽生えて。色々な感情が揺さぶられた時期でした。
藤井: “それでも世界が続くなら”は、僕はこういう曲を聴いて、歌っている人たちが好きだって、メンバーに伝えたときのバンドの一つなんです。彼らの出演するライブのオープニングアクトとして出たことはあったんですけど、“それでも世界が続くなら”との2マンというのは、夢が叶ったような心地で。自分たちの最大限の武器を持って行かなきゃって考えてます。
郷間: 篠塚(将行)さんの方から2マンライブをやりたいってお話いただいていたんですけど、ずっとやれずにいて。“それでも世界が続くなら”のライブ告知ツイートに"約束を果たす2マン"って書かれていて、滾るものがありますね。
藤井: お客さんを入れてやるのも半年以上ぶりで。勘が鈍ってないかという不安と、早くやりたいっていう興奮があります。オーディションで投票してくれたファンに直接お礼を言える場所にもしたいですね。
藤井: たくさんの人に聴いていただきたいのは大前提なんですけど、また大人数が集まれる状況になった時に、ファンの人たちが集まれるもっと大きな場所を自分たちで確保して、共有できる大きなバンドになりたい。これはバンドを組んだ当時から変わらない夢ですね。
藤井: 同じ想いを抱えて、同じ曲を聴いて、同じ感情になってる人がこれだけいるんだって目で分かるのはやっぱりライブの醍醐味だと思います。
加藤: 街中で流れたら、Broken my toyboxの曲だって分かってもらえるようにクセの強いものを作っていきたいです。
高田: 色々な人に曲を聴いていただきたいっていう想いも強いし、いい環境でいい音楽を長く作り続けていきたいですね。
郷間: Broken my toyboxを通じて、音楽や演出も含めて、おもちゃ箱を開けたようなエンターテイメントを提供していきたいです。僕も運動から逃げて音楽をやってきたので、皆が逃げてきたものの代わりになる、楽しいものになればいいなと思います。
2016年5月結成、都内を中心に活動中。
綺麗事のない残酷の中のかすかな灯火を歌い、時に突き放し痛みを歌うギターロックバンド。
<メンバー>
Gt/Vo:藤井樹、Gt:高田健太郎、Ba/Cho:郷間直人、Dr:加藤芳樹
【ARTIST BASE】 https://artist-base.jp/artist/toyboxshop
【HP】 https://brokenmytoybox.jimdo.com/
【Twitter】 https://twitter.com/BrokenMyToyBox?s=20
【Instagram】 https://www.instagram.com/brokenmytoybox
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